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情報系大学生の雑記録

「ご冗談でしょう、ファインマンさん」から読み取る大切なこと

理系のための小説?

「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という小説をご存知でしょうか。

物理学を専攻している方ならご存知でしょう。1965年、量子電磁力学の発展に大きく寄与したことにより、ノーベル物理学賞を受賞した物理学者です。

 

※詳しくはWikiへどうぞ

リチャード・P・ファインマン - Wikipedia

 

 

この本は、そんな彼がユーモアに溢れた人生を物語るお話です。

構成は、小さいときのお話からノーベル賞受賞以降のことまで、彼の人生を年代ごとにミニストーリーをまとめた構成になっています。

僕はこの本を読んでいて、少し違和感を感じていました。ところどころ、オチが微妙だったりします。

まぁ創作小説ではないので、当然といえば当然です。

ですがこの本は日本で翻訳され、販売された当時はかなりの人気っぷりだったそうです。何かしら人を寄せ付けることが書いてあるのだろうと思い、読み進んでいくと、ある共通点に気が付きました。

 

ファインマンの志もとい、人生で重要事項にしてあることでした。

それは、自分が見た聞いた感じた物事・人に対して「誠実であること」だったのです。

いやいや、この小説ではファインマンはイタズラをしているじゃないか、もちろんいたずらもしていましたね。

ですが、彼はそのイタズラに実際に行動を移す前に、目の前の人間の言動・事象に違和感を感じれば、すぐに分析を行っていたのです。

なぜ、この人はこの行動をしたのだろう、まずは推測で◯◯という背景があるからだろう、実際にそれをもとに行動してみる、でもやはり違うようだ、そうだ!今度は〇〇をやって、からかってみよう。

 

 

そこにはこの小説の最後のお話である、カーゴ・カルト・サイエンスという1974年のカリフォルニア工科大学の卒業式式辞で語ったことに、全てがまとまっていました。

彼はこう語っていました(※すべて書くわけにはいかないので、短くまとめています

 

この科学の時代になっても、未だに未解決であり、根拠に基づかずに決められる物事や慣習が残っている。これを私は、カーゴ・カルト・サイエンスと呼んでいるのですが、このカーゴ・カルト・サイエンスには、「あるもの」抜けているものがあるのです。この「あるもの」は、諸君ら学生たちが研究を行っていく上で会得した暗黙の「あるもの」です。それは科学的な考え方の根本原理、言うなれば「誠意を尽くす」姿勢です。

 

諸君らが研究を行う際、結果を肯定する原因を並べるだけではなく、悪い要因も含めて省略せずに説明するべきなのです。他の誰が見てもわかるように、包み隠さず公表すべきなのです。

 

こんなお話があります。心理学を学ぶ女子大学生が、ラットを使って実験を行うとします。

 

状況XにおいてAという行動を取るのは、先行研究で証明されています。この大学生はラットがAという行動を優先的に取るのか、状況YにおいてAという行動をとるかを確かめる実験をしようとしていました。大学生は教授に相談し、状況XでAという行動をとる実験を行いたいと促すと、なんと教授は「それは過去の研究で証明されており、時間の無駄である」としたそうなのです。

これこそ誠実さに欠ける姿勢です。その過去の実験が間違っていることを考慮すべきなのです。時間の無駄のせいにして、自分がほしい結果を早望みしているだけなのです。

 

ヤングの実験では、ラットに餌のある方の扉を記憶できるかの実験を行いました。二回目の実験でも、ラットは餌のある扉へ向かいます。

きっと匂いがついているからに違いないと、箱をすべて洗浄し、もう一度実験すると、やはりラットは餌のある扉を当てます。

色で判別しているかもしれない、今度はペンキを塗りたくりました。それでもやはり当てます。

そうか、部屋の光の入り具合に覚えているかもしれない、今度は全く均一になるように光量を調整しました。それでもやはりラットは扉を見事に当ててしまいます。

施行の結果、ヤングは音、つまり部屋の音の反響具合でラットが餌のある扉を当てていることを突き詰めたのです。これこそ第一級の研究です。

 

ですから、先程の女子大学生のアイデアを拒否し、ある結果を得る方法だけを教えるなどという方針を決めてかかるのは、非常に危険なこととしか言いようがありません。

 

 

ファインマンはこの「科学に対する誠実な姿勢」を貫いていたからこそ、計算誤差による間違った法則や電子の軌道が提唱されていた当時の量子物理学に、大きな発見を見いだせたのでしょう。それは過去の研究が間違っているかもしれないという慢心しない志だったのです。

 

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 理系の方におすすめと書いてありますが、特に文系理系を問わずに楽しめるお話ばかりです。この記事を書いている僕は物理学は専攻していませんし、あまり関係のない情報工学です。ですが僕でもわかる度合いに易しく説明してくれているので安心していいと思います。

 

少しでもファインマン「好奇心」を持ったなら、読んでみてはいかがでしょうか。

今日はこの辺で、ではでは。